フライフィッシングの小部屋



管理釣り場のフライ紀行


  『尾瀬フィッシングライブ』



    2008年10月4日(土)、早朝3時半に幕張新都心を出発。
    釣り仲間5人が乗ったワンボックスカーは、ひたすら高速道を突っ走り群馬県沼田市の片品川ぞいの管理釣り場へ。
    ここは、初めての釣り場だ。


    午前6時40分には、駐車場に到着。すでにかなりの数のクルマが駐車し、釣り人が身支度の最中だ。
    釣り場の第一印象は、「池は広いが、想像したより水がクリアではない」というものだった。
    しかも、本日は土曜日。
    ストレス解消にやってきたはずが、人の多さで逆にストレスを増加させることにもなりそうだ。
    出来るなら平日に訪れた方が、心行くまで楽しめるはず。


    さて、管理事務所に入ると、『釣り券の自販機』がある。
    ここで4000円也の一日券を購入し、わきのカウンターで管理人からルールを聞く。
    まずは、バーブレスフックの使用と、魚に優しいネットの使用を強く言われる。
    当然のことだが、未だに守らない釣り人もいるのだろう。
    僕のネットは手作りなので、使用可能か確認。「これなら良いですよ」との答えだ。
    それこそ、100円ショップで購入した洗濯ネットだけに、洗濯物にもお魚の体にも優しいようだ。


    トイレは奇麗で、しかもウォッシュレット。
    最近は衛生設備を充実させる管理釣り場が徐々に増え、嬉しい限り。
    だが一方で、吐き気をもよおすほどの劣悪なトイレも残っているから要注意だ。


    間もなく午前7時、オープンの時間。ところが、時間前に釣り人が好ポイントで場所取り状態。
    「どうなることやら」
    管理事務所前が『釣り禁止エリア』で、一段高い生け簀から2筋の大きな流れ込み。
    池の周囲は全長500メートルほどで、事務所を背にした右側がバックが広く、左側は狭い感じだ。
    池の中央付近で水が小さく吹き出している。


    僕は、釣り禁止エリアから20メートルほど先の左岸へ入り釣りのスタート。


    まずは、定番のエルクヘア・カディスをキャストするが、反応はまったく無し。
    ドライ系を次々と試すがダメで、ついにマーカー釣りへ変更だ。
    すると、待望の待ちに待ったアタリが出た。ところが、ここで痛恨のアワセミスを5回も連発。
    夏休みで2ヶ月のブランクがあったためか、力だけがやけに強く入ってしまい軽く素早くロッドを立てられないのだ。
    魚の口にかすりもしない。
    大きな深呼吸を数回して、次ぎのキャストへ。
    6番フックに10円玉ほどもあるピンクの球形の大きなエッグフライを沈める。
    と、ついにバシッとフッキングし、40センチ近いニジマスが姿を見せてくれた。これで一安心し、連続ヒット。


    「こうなれば、軽く100越えのペースか」と思ったのが、とんだ勘違い。
    すぐに、アタリが遠のき、手を変え品を変えでようやく20尾。これが午前中5時間の釣果。


    12時頃に「お弁当が届いております」との放送を聞いて事務所の隣の食堂へ。
    朝、事務所で頼んでおいた親子丼を食べ、自販機で買った缶ビールを味わえば、午後の部の始まり。
    気温水温とも上昇したようで、少し状況が好転したらしい。
    午前中にアタリの無かったピンクのタコフライが入れ食いとなり12尾。
    その後は、ドライのバイビジブルで連続10尾と好調が続いた。
    ところが、喜びもつかの間で、またしばらくの間、アタリが無くなる。
    つまり、池が広いだけに、魚が群で回遊しているのだ。
    群がくればアタリが続き、去れば遠のく。当たり前だが、これの繰り返しだったわけだ。


    一方、釣り禁止エリア沿いの好ポイントへ入っていたルアーマンは、一人爆釣を始めた。
    これまで、管理釣り場を訪れルアーマンで爆釣している光景を見たことが無かった。
    しかし、ここでは他にもルアーに結構頻繁にアタリが出ているのだ。
    その理由は、フィッシュイーターたるトラウトの餌(小魚)が大量に棲息しているからのようだ。
    時折、足下の水辺を4、5センチの稚魚の群が移動して行く。
    「ハヤが沢山いたね」とは釣り仲間の言葉。
    どうやら、あの稚魚は池で生まれたハヤの子供だったらしい。


    夕方4時を回る頃、小さな虫が水面を飛び始め、魚が水面と空中へと注目し出した。
    小さなエルクヘア・カディスに飛び出し、バイビジブルへの反応も戻ってきた。


    午後5時、辺りは一気に秋の夕暮れの気配に包まれ、納竿。
    今回の「自己目標は60尾」と勝手に設定したが、結果は50を若干オーバーした程度。
    やはり、キャストが下手な僕は、どうも大きい池は苦手。
    狭い所でチマチマと釣るのが、結局お似合いらしい。




    今回釣れたフライ
      エッグ(ピンク)  タコフライ(ピンク)   マラブー(オリーブ) 
      ソフトハックル   バイビジブル      エルクヘア・カディス


  『釣りパラダイス』



   秋晴れの10月16日(木)。
   我が家から40キロほど離れた管理釣り場『釣りパラダイス』へ出掛けた。
   釣り場へ向かう途中の畑には、『ぼっち』の行列。
   これは、掘り起こした落花生を、寒風にさらすために積み上げたもの。
   目指す釣り場のすぐ北は、落花生の生産地として知られる八街市なのだ。



   管理釣り場は、千葉県山武市内。
   畑や杉林、それに新興住宅地に囲まれた谷津の一番奥になる。
   そこにヘラブナやタナゴなど魚種別に幾つかの池があり、その一つがトラウト専用池だ。


   さて、到着した管理釣り場は、箱庭の風景を連想させるほどに、こじんまりとした池。
   東西に細長く、井戸を掘り地下水を利用しているという。


   ここは、5時間の半日券が3000円。
   そこで、午前10時から午後3時までロッドを振ることにした。


   先客は、ルアーマンが二人で、一人が奥の水車前に、
   もう一人は事務所近くの流れ込みに陣取ってキャストしている。
   つまり、水が動き酸素が供給されるこの2カ所が、最大のポイントなのだ。



   実はこの釣り場、去年の晩秋には余りにも美しい水に驚かされたものだった。
   マッディーな水が当たり前の千葉県で、余りの奇麗さにビックリ仰天。
   何しろ、サイトフィッシングが可能だったのだ。


   ところが、徐々に水は濁り汚れ、今年の6月頃には茶色い水面に逆戻り。


   この秋、再び奇麗な水を期待して訪ねたのだが、現状は写真の通りの茶色い水面…。


   受付で料金を支払い、首からカードをぶら下げ、
   ラバーのランディングネットを借りて釣りのスタート。
   ここは、完全なキャッチ・アンド・リリース制。


   さて、小さな池の何処へ入ろうかと思っていると、
   水車前に入っていたフライマンがロッドを手に引き揚げてくるではありませんか。
   「おはようございます。どうですか」と声を掛けると、「良い調子で釣れますよ」との答え。


   彼が去ったため、水車前が空いたので、当然、そのポイントへ。
   ともかく、水車前は特等席なのだ。


   茶色い水面でも、近くなら魚影を確認できる。
   魚は十分な数を放流しているようだ。
   特に水車からの白泡が切れる辺りは、黒い固まりで魚影が映って見えるほどだ。


   まずは、BFフライを結び、魚影に向かいキャストする。
   黄色いフロート材に、黒いハックルのフライが着水すると、
   その直後に微かに波立つ水面が変化したように感じた。
   そこで、軽くアワセると、クンクンという小さな引きで20センチほどのニジマスが掛かってきた。
   その後、3尾を追加するが、波立ちにBFフライが見にくいためマーカー釣りに変更する。


   MSCフライにカミツブシという仕掛けで、マーカー下を1メートルほど取りキャスト。
   トラウトの反応は直ぐにはっきりと出た。


   午前中、快調に釣り続けたものの、昼を回る頃から気温が上昇した。
   すると、明らかに魚の活性が落ちてしまった。
   マーカーの変化は小さく単発となり、水面への反応もまったく無くなった。


   結局この日は、午前2時間で36尾を釣り、午後3時間で22尾の釣果。
   最大のニジマスで40センチ弱、最小は20センチ。ブラウントラウトの30センチも釣れました。


    今回釣れたフライ
       MSCフライ(ブラウン、クリーム)   マラブー(オリーブ、イエロー)
       タコフライ(ピンク、イエロー)     BFフライ


  『ジョイバレー』




   10月30日(木)、成田空港のすぐ近く、
   千葉県芝山町菱田にある管理釣り場『ジョイバレー』へ。


   天候は曇り時々晴れで、穏やかなフライフィッシング日和。
   ここはメインポンドと小さな池が二つの計3つの池がある。
   セカンド、サードポンドは日によってフライとルアー専用となる。


   受付の管理人いわく、「ドライでも結構反応しているようです」とのこと。
   マッディーな水面を覗くと、確かに魚影が幾つも見える。


   そこで早速、釣り仲間からの貰い物のBFフライをキャスト。
   このフライ、大きなフックで背中に黒いラバーを背負った甲虫のイメージだ。


   正直、「こんなに大きいフライで釣れるの」、と半信半疑だった。
   ところがどっこい、すぐにパックンといった感じで出ましたよ。
   少し遅らせ気味にロッドを立てると、20センチほどのニジマスが釣れました。


   その後もドライ系のフライで快調に釣れる。
   サイズが小さいのが若干不満ではあるが…。


   この釣り場の特徴は、頭上をかすめるジャンボ旅客機だろうか。
   特に着陸時の旅客機は、超低空飛行で轟音と共に梢の向こうに消える。
   首都圏の通勤時間帯の電車並みのペースで離陸と着陸が繰り返される。


   午前の2時間が終わり、昼食後はマーカー釣りに変えて1時間ほど。
   初めは渋い反応だったが、フライをマラブー(オリーブ)にしたら連続ヒットとなった。
   場所は、セカンドポンドからの小さな流れ込みの脇。
   しかし、余りにもポイントが狭いので飽きてきました。




   そこで、本日のフライポンドであるサードポンドへ移動。
   ここで再びドライフライで誘ってみます。
   陽光が杉林で遮られ、水面が半分以上薄暗い影に入った。
   その暗い水面へ定番のエルクヘアー・カディスが着水すると、ニジマスが飛び出した。


   入れ食い状態になると、
   ジェット旅客機の轟音がまったく気にならなくなるから不思議だ。
   それが、ピタッと反応が遠のくと、
   ゴォーッ!と頭上をかすめる旅客機を見上げて睨むことに。


   この釣り場、旅客機が気にならなければ、快調に釣れてる証拠だろう。


   午前10時から午後3時までの5時間。料金は5時間券で3400円也。
   釣果はマーカー釣りで12尾、ドライ系のフライで42尾でした。

    今回釣れたフライ
       マラブー(オリーブ)    エルクヘアー・カディス   グリーンキャタピラー 
       グリフィス・ナット     BFフライ







  『夷隅川フィッシングパーク』




   11月5日(水)、我が家から一番近い『夷隅川フィッシングパーク』へ向かい、
   午前8時半に到着。
   夷隅川の自然の流れを利用した管理釣り場で、
   今年は「先月18日にオープン」したそうだ。


   「今日は、一人しか入っていないよ」と管理人。
   最下流に、釣り人のキャップがチラリと見える。
   そこで、僕は最上流の「キャッチ&リリース」区間へ。


   上流、木立の彼方、低い山上に見えるのは、天守閣造りの博物館
   (千葉県立中央博物館、大多喜城分館)。
   大多喜城は、徳川四天王の本多忠勝が、徳川家康から10万石の領地を与えられ、
   新しい城をこの舌状台地に築城した。
   釣り場最下流の橋の欄干では、甲冑姿の本多忠勝像が川筋を睨んでもいる。
   そもそも忠勝は、蛇行して流れる夷隅川を天然の外堀と考え、
   城と城下町を構築した。
   彼が想定した仮想敵国は、安房の里見氏であった。


   さて、歴史の話はそのくらいにして、フライフィッシングに取りかかろう。


   左岸に降りると、流石にお城は視界から消え、右岸は絶壁が続く。
   この区間は、大物を放流している場所だ。
   2年前、60センチほどのドナルドソンを続けて数尾釣ったこともある。


   まずは、魚の姿を見ようと、マーカー釣りを。
   フライは淡く茶色いMSC。
   すると、一投目でマーカーが動き、軽いアワセに確かな感触が伝わる。
   「大物か?」と一瞬期待したのだが、残念ながら25センチほどのニジマス。


   幸先の良いスタートだったが、後が続かない。
   そこで、下流へ移動して魚影を探しながらキャストを繰り返す。





   管理事務所の下辺りに、
   流れを横断する形でコンクリートの大きな四角い固まりが置かれた石橋がある。
   その上流と下流が、これまでの経験から魚が集まる場所だ。


   この日は、実に水がクリアで、岸から4、5メートル先まで川底が見えるほど。
   そこで、ピンクの大きなエッグを流してみると、
   底からフワーッ、フワーッと魚影が浮かび上がりエッグに反応してくる。
   魚の数は、結構多そうだ。


   タコフライ、マラブーと形や色を変えながら、しばらくはマーカー釣りを楽しむ。
   と、いつの間にか、下流に入っていたフライマンが隣に姿を見せた。


   「随分とアタリますね」と挨拶代わりに声を掛けてきました。
   「いやいや、マーカー釣りですからね」と答えていると、
   彼のロッドも弓なりに曲がり、28センチほどを釣り上げた。
   釣り糸にマーカーが見えない。。
   「どんな釣り方で?」と聞くと、側にきてフライを見せてくれた。
   ハックルをアイ近くに巻き、ボディーはクリーム色にダビングし、テールも付いている。
   メイフライ・ダンといったイメージで、水面直下を狙うようだ。
   「水が奇麗だからアタリが見えますよ」。





  岸辺で、パンとコーヒーの軽い昼食を済ますと、
   本日のテーマ「ウェットで釣る」を試すことにする。
   特に、簡単に巻けるソフトハックルを何種類か持参。
   それらを試すために、流れのある夷隅川へやってきたわけだ。


   まず、オレンジ・パートリッジを正面へキャスト。
   下流へ流れると、一発で水面直下が光った感じがしてアワセに確かな手応え。
   30センチ弱のニジマスが強烈に抵抗しながらランディングネットに収まった。


   ソフトハックルへの反応は上々で、着水と同時にドライフライのようにも飛び出す。
   また、流れに任せた後、流れを横切るようにターンさせると、大きな反応も。
   特に、テンカラ風の逆さ毛鉤(#10)に連続して飛び出した。
   ボディーは明るい黄緑色で上からピーッコックハールを縞模様に巻き、
   ハックルはブラウンパートリッジ。


   一日券は4000円(午前7時から日没まで)。半日券は3000円(正午から日没)。


   本日の釣果。
   午前9時から正午まで、マーカー釣りで23尾。午後は4時まで、ソフトハックルで28尾。


     本日のアタリフライ


    オレンジ・パートリッジ    イエロー・パートリッジ     逆さ毛鉤


イラストレーター さいとう・はるきの部屋へ

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